4月5日 火曜日 快晴

clear and bright sky.

今朝の新聞の予報では、北海道から沖縄まで、びっちりと晴れマーク。
新聞は毎日見てるけど、これってかなり珍しいんじゃないだろうか。

おりしも、今日は「清明」、つまり、春の陽気で万物清く明るくなるという、春分の次の節句で、文字通り「清く明るく」晴れわたっている。


静かな火曜日

例によってこういう静かな日は温故知新。

ある車のリフレッシュ・メンテナンスについて書いたコラムがあるので、再掲します。

5年前のこのメンテナンスがきっかけとなって、「総合点検」という整備メニュー、というかメンテナンスのコンセプト、つまり人間ドックのように、車に全体的な健康診断を施し、オーナーの方とわれわれの間で、そのデータを共有し、、優先順位をつけながら、事情に応じて、少しずつ、あるいは一気に整備を進めていくという、ひとつのカタチにたどり着くことができました。

とくに旧い車のオーナーの方にとっては、この健診によって、愛車を維持するための指針がはっきりと可視化され、修理のたびに感じていた、この先どれくらいかかるのかという不安が、少なからず解消できるようになり、実際にその車を管理するわれわれにとっても、今なんのためにどのようなことをやっているかということを、理解していただいているという安心感をもてるようになったわけです。

もちろん、そのためまず必要なのが、コミュニケーションであることは言うまでもありません。


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2006 05月08日  '98 ボルボ940クラシックエステート ― リフレッシュ!

Kさんの1998モデル940クラシックエステートをお預りしました。

Kさんは、大阪市内にお住まいのアウトドア派のご夫妻で、平日はほとんど車に乗られることはありませんが、週末にはシーカヤックを940の屋根に積んで、日本中の海を巡られているというアクティブ・ユーザーです。
この940は、2年前に66000kmでご購入いただいて現在96000km、週末限定という使い方を考えるとけっこうな走行距離ですが、高速中心の使用ですから車の状態もいたって良好、納車直後の初期不良はいくつかありましたが、その後は消耗品のメンテナンスだけで、この2月の車検でもこれといった不具合はありませんでした。

Kさんの940エステートは、ボルボ940の生産終了を記念(?)した1000台限定の特別仕様車で、外観的には前後のクリアーレンズとリアスポイラーが特徴で、エンジンは最終モデルのライトプレッシャー仕様のターボではなく、加給圧の高いターボが装着され、最高出力がライトプレッシャーターボから35PSアップの165PS仕様になっています。
高速道路の走行が大半というKさんにとって、このパワーの違いは大きいですし、荷物と人をしっかりと積んで長距離高速移動をするという実用的な使い方は、940エステートという車の最も本来的なカタチではないかと思います。

2月の車検のときにもいろいろお話したんですが、けっこう重量のあるシーカヤック2艘を常時(走らないときも)積載しておられることや、10万kmという節目を向かえること、そしてなによりもこのHPに掲載したデモカーの記事が刺激になって、「新車に近い乗りごこち」を味わいたいというKさんの意向で、足回りとトランスミッション・フルード(ATF)の全面的なリフレッシュを、車検後に施すことになったわけです。

フルコースでリフレッシュしたいというKさんの意向を受けて、私たちが提案したメニューは次のようなものです。

■ フロント足回り
1 ラックエンド
2 タイロッドエンド
3 ロアボールジョイント
4 ストラットロッド・ブッシュ
5 コントロールアーム・ブッシュ
6 コントロールアームステイ・ブッシュ
7 ストラット・アッパーマウント
8 ショック・アブソーバー
 
ラックエンドとタイロッドエンドは、ステアリング・システムとホイールをつなぐパーツ、ロアボールジョイントはサスペンションとホイールのつなぐパーツで、タイヤでひろった路面の振動が直接伝わるパーツですから、必ず消耗するところ。 消耗しすぎると足元がガタガタします。 もうひとつのガタつきポイントであるスタビラライザーのブッシュは Anti Sway Bar で補強する可能性が捨て切れませんでしたし、工程での重複はないので、今回はあえて外しました。
ブッシュ類は、IPDのブッシュキット($110.00)を調達しました。 通称そろばん玉と呼ばれているストラット(テンション)ロッドのブッシュは定番的に消耗するところですから、ウレタン製のもので強化されています。
アッパーマウントとショックはセット交換が基本、どちらもIPDからのものです。 ショックは、「BOGE Turbo Gas($59.95)」、当社での実績もあり、コストパフォーマンスが高いことと、Kさんが求めておられる乗り味をだすならガスショックが最適と判断したからです。

■ リア足回り
1 Fトルクロッド・ブッシュ
2 Rトルクロッド・ブッシュ
3 トレイリングロッド・ブッシュ
4 パンハードロッド・ブッシュ
5 オーバーロード・スプリング
6 ショックアブソーバー

1-4のブッシュ類は、上記と同様にIPDのブッシュキット($148.00)を使用しました。 オーバーロード・スプリング($148.00)は、カーゴルームに荷物を満載し、なおかつ屋根の上にシーカヤックを2艇載せて走るという、Kさん夫妻の使用状況に合わせたチューニングです。 このスプリングはノーマルスプリングと比べて20%硬い設定になっていて、積載可能重量を136kgアップさせるというスグレモノで、Kさんのライフスタイルにぴったりのアイテムだと思います。
ショックは、前と同じ「BOGE Turbo Gas($49.95)」、前後揃えるというのが基本形だと思いますし、強化スプリング+ガスショックという組み合わせは、悪くないのではないかと考えました。

■ ATF
1 ATオイルパン・ガスケット
2 ストレーナー
3 ATF

ATFの交換は、そのリスクに対する判断がむつかしく、あまり積極的におススメするメンテナンスではありませんが、液類をリフレッシュすることは、車にとって悪いことではないはずなので、リスクのことをご説明した上でお受けしました。

そのやりとりは次のようなものです。
Kさん

ATF交換に関しては、諸説あってなかなか難しいんですが、当社ではこちらに記載された見解をとっています。
http://www.yoshimi-auto.com/mente.html

もちろんフルードの交換が機械にとって悪いわけはないので、定期的に交換することは推奨されるべきことですが、記録のない車に関しては、リスクが伴うということだと思います。

要はAT内のフルードがなかなか100%抜け切らないということが問題なんで、もし交換されるのであれば、必ず「循環式」での交換をお勧めします。

当社では、ATFの交換に関しては、正規ディーラーでやっています。ウチに循環式交換の設備がないことと、リスクを減らすことがその理由です。いままでお客様のご要望に応じて、多走行車を含めてこの方法で何回となくATF交換やっていますが(もちろんリスク-最悪の場合AT交換になるかもしれない-を納得いただいた上ですが)、今までのところボルボでは、悪い結果になったことはありません。

循環式交換の場合ATFを大量に(10L前後)使いますが、これがポイントなんでしょうね。

お世話になります。

ATFについてはリスクも覚悟してお願いしたいと思います。

循環式にて溜まっているスラッジが問題であれば、ATFオイルパンを取り外して清掃し、ストレーナーを交換してから循環式でATFを交換し、近日中、もしくはその日にもう一回ATFを交換すればスラッジによる影響は少なくなるってことでしょうか?

K

Kさんこんにちは

> ATFについてはリスクも覚悟してお願いしたいと思います。

了解しました。
そういっていただけると助かります。お預りしたときに作業できるよう段取りしてみます。

> その日にもう一回ATFを交換すればスラッジによる影響は少なくなるってことでしょうか?

まあ理屈の上ではやればやるほどキレイになるということなんですが、あんまりやりすぎるのもアレなんでとりあえず、「オイルパンを取り外して清掃し、ストレーナーを交換してから循環式でATFを交換」ここまでを一通りやってみるっていうことでいいんじゃないかと思います。
もちろんおっしゃるように、その後もう一度という選択肢がなくはないとは思いますが、今までやったことがないんで、効果のほどはわからないというのが正直なところです。

納車後のKさんからのメールです。
お世話になります。
週末、志摩半島まで走りました。
往復500kmほどでしたが、足回りに関して劇的に変わっていました。
かなり運転しやすくなりました。いままでは大きな揺れが止まらず峠道ではおっとっとって感じで運転していましたが、今回はかっちりと普通の車のように走れました。
渋滞でのストップアンドゴーでもノーズダイブしなくなり楽になりました。

ATFの交換についてはびっくりしました。
2速への変速のショックが減ることは予想していましたが、加速そのものがスムーズになりパワーが上がったように感じるほどでした。
お金はかかりましたが、10万km目前でリフレッシュでき良かったと思います。

ありがとうございました。

K

Kさんには、海外にオーダーした部品の入荷を待ってお車を入れていただき、1週間ほどお預りしました。
今回の この整備は、納車後のメンテナンスとすればかなりお大がかりなもの(費用の上でも)でしたが、このように目に見えるカタチで効果が現れて、オーナーの方にご満足いただければ、私たちもすこしホッとした気持ちになります。

*

車に限らず、とにかく使い捨てというのが、現代の日本人の特質のひとつ(もっとも、すべての人が同じ車に10年乗り続けたら、日本の車産業は崩壊してしまいますが・・・)となってしまい、気に入った道具をメンテナンスしながら永く使っていくという地に足の着いたライフスタイルそのものが、なかなか理解されないようですが、ボルボという車、とくにフォード傘下に入る前からスウェーデンで地道に造られていた240や940は、その「気に入った道具」になる素質を持った車ではないかと思います。

Kさんの940は今年で新車から8年目、同じ車を10万km乗りつづけるなんてとんでもないという、日本のユーザーにすれば旧車という範疇にいれられてしまうモデルですが、平均耐用年数が20年以上というボルボにすれば、道半ばというところだと(少なくとも私たちは)思っています。 ただ、こういったちょっと旧い車を乗り続けることの主役は、以前にも記しましたが、あくまでもオーナーであるというのが基本的な考え方で、日々のメンテナンスが、そのベースであることはいうまでもありません。
私たちはオーナーの方をサポートして、お車の点検や整備に対するアドバイスを発信することはできますが、最終的にはオーナーにその判断が委ねられます。

Kさんのように思い切ったメンテナンスはなかなかむつかしいことかもしれませんが、乗り換えということを考えるのであれば、ずいぶん安くつきますし、ほんとうに気に入った車なんてそうそう巡り合うものではないですから、もし今乗っておられる車が、「お気に入り」の存在であれば、こういったメンテナンスにも一考の余地があるかもしれません。

車は正直なもので、少し手をかけてやると、素直に反応しますから。

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5年後の今も、付け加えることは、それほどありません。


same old volvo, same old story.


and so on,

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by yoshimi-auto | 2011-04-05 18:23 | column
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あるボルボショップの日常、悪戦苦闘の日々。
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